『大人のための児童文学講座』の読書メモ

大人のための児童文学講座 / ひこ田中 【本】

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今まで読んできた物語にそんな意味があったのかもしれないのか、と色々発見があって面白かった。
・若草物語
『若草物語』は社会が要請する「小さな婦人」へと成長をとげる物語だと解説されている。
「表向きは社会の要請どおりに描きつつ、ジョーのような新しい女の子像を、読者にちらりと見せてくれたのです。」(p.17)
若草物語からそういうメッセージを受け取った覚えがあまりない。しかしそう言われてみると、『続若草物語』では、メグが立派な主婦になるまでの涙ぐましい過程が描かれているので納得する。

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・あしながおじさん
あしながおじさんは、主人公のジルージャを支配したい欲望があからさまであると。自分の身分を明かさず、選択の余地のない孤児の女の子に手紙を書かせている。
そういえばそんな状況だったか……
そしてあしながおじさんは思い通りに支配できないジルージャを好きになり、マッチョな態度をやめることになる。
p.24

マッチョなあなたのままでは出会えない……
そんなメッセージが、この物語には秘められています。

・人魚姫
p94

人魚姫の物語に共感していた子ども読者は、最後で、「よい子」になることを求められてしまうのです。

自ら死を選んだ人魚姫は、三百年後には人間と同じように魂を授かると教えられる。
ただ、子供向けの翻案や抄訳はこの部分が省略されているものが多い気がする。私は完訳版を大人になってから読んだ。人魚姫が死んだ後が意外と長くてちょっと驚いた記憶がある。

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