『ザ・ヒール』

ダンプ松本『ザ・ヒール』 極悪と呼ばれて [ 平塚 雅人 ]

価格:1,540円
(2021/12/20 19:30時点)
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ダンプ松本さんがプロレスファンなどから受けた仕打ち
・実家に罵声が浴びせられ、石を投げられる。(p126)
・クラッシュギャルズファンにマンション自宅へ空き巣に入られ、現金や財産に損害を受ける。(p126)
・新車に傷をつけられる。バイクのタイヤに釘を刺される。自転車のサドルを盗まれる。タクシーに乗車拒否される。(p127-128)
・乗ったバスを600人に囲まれて「出て来い!」と言いながら揺すられる。(p128)
・ファンを押さえていた”警備員に”殴られる(p128)
・飲み屋で割ったビール瓶を突きつけられる(p129)
・殺意を持っている人に追いかけまわされる(p129-130)
・サイン会に三千人以上が集まったが、ほとんどは罵声を飛ばすために来た人。人が集まり過ぎて中止。(p1471)
・300枚以上の年賀状全部に「ダンプ死ね!」と書いてある。(地方の小学生たちからで、年賀状が一番届いた人にお小遣いが出るというエピソードも紹介されているが。)(p181)
あまりにもひどすぎる……
先輩たちから受けたいじめも激しい。
ダンプ松本さんだけではなく、石を投げられたとか街で追いかけられたとかいう事を他の悪役プロレスラーが話しているのを聞いたことがある。
私が木村花さんの件を知った時、昔のめちゃくちゃなことをやられていたヒールレスラーはどう思うのだろうと考えた。今より昔のほうがつらかったのではないかと。
この本には木村花さんのことも書かれていた。ダンプ松本さんは、花さんが子供の頃に会ったことがあり、亡くなったことを知って涙が止まらなかったそうだ。
花さんの死は絶対に無駄にしてはいけないということが書いてある。また、「SNS上での反応がダイレクトに伝わるようになった現代では、若い女子レスラーのメンタルをケアする役目も絶対に必要なはずだ。」と、インターネットが発達した現代ならではの対策について触れている。
一方で、「いじめを受けて死ぬ道を選んだら負けなんだ」とのメッセージをいじめの対象になっている人たちに発信。逃げろ。ケータイなんか見なくていい。孤独に耐え、フィジカルとメンタルを徹底的に鍛えろ、と。
「いじめられたあなたは何も悪くない。変わらなくていい。」という意見は受け入れられやすい。しかし、ダンプ松本さんのように批判を覚悟でどうすればいいか道を示すほうが親切なのではないかと思う。
ダンプ松本さんは、父を殺したくてプロレスラーを志した。定職につかず、遊び回って隠し子まで作っていた父。
しかし、2019年になり、お父さんの余命が一週間と知ると、ダンプ松本さんは憎悪を消して心の底からお父さんが長生きするように祈ったという。
本当に優しく強い方だと思った。