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冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場(集英社インターナショナル)【電子書籍】[ 冲方丁 ] 価格:1,188円 |
奥さんの顔を殴って前歯破損させた疑いで逮捕された事件について書かれた本。
冲方丁先生の名前は知っていたが、逮捕されたことがあるのはこの本を手に取るまで知らなかった。
「私は殴ってないし、彼女の歯も折れてなんてないでしょう。そういえば差し歯を治したいと言っていたので、そのことじゃないですか」(p20)
そもそも殴っていないのならそういう問題ではないが、素朴な疑問として、ぶつかったはずみで差し歯が外れたら「前歯破損」になるのかどうか気になってしまった。
容疑者が警察に証拠の在りかを漏らすと良くないという話が興味深かった。先に弁護士に言わないといけないらしい。
警察が先に監視カメラのデータを押収すると、無実を証明できないようにする隠蔽工作が行われる可能性があるとか。(p78)
著者の弁護士がマンションの管理人にカメラの映像提供を求めたところ、もう警察に渡したからと門前払いされたらしい。(p112)
“世間では「証拠を集めるのは警察で、被疑者の弁護士などに同じものを渡してはいけない」といった考え方が根強く、そう簡単にはいきません。”
(p112)
自分が容疑者になったら余計な情報を漏らさないように気をつけたいし、情報提供する立場になったら平等に証拠を渡したいと思った。
そもそも何が起こったの? なんでこんな目に遭うの? と最初のほうを読んでいる時から、ずっともやもやするが、結局奥さん側の状況は明らかにならない。これは現実に起きた事件なので。分からない部分、分かっても書けない部分が多いのだろう。
p163
妻に法的な知識を入れ知恵する人間がいたとしても――いないと辻褄が合わないのですが――それは、あくまで夫である私に対し、金銭面をふくめ何らかの利益を得ようとしたためにすぎず、何者かが一計を案じて私の名誉を貶めようとした事実はないでしょう。
ということは書かれているが。
こういうことをしても親権は奥さんにあって、父親は子供に会わせてもらえないのか。
警察と司法の不条理はかなり詳細に語られていて、読んでいて怒りもあるが、すっきりするくらいだ。そうなると、読者としてはあまり語られていない親権周りの不条理もかなり気になる。
p186
「逮捕以降、本書を執筆している現時点まで、私は子どもたちに一度も会うことができずにいます。」
「頑張って働かなければ、愛する子どもたちの生活が立ちゆかなくなってしまいます。」
この件はDVをでっち上げたもの勝ちになっている気がするのだが……
調べてみると虚偽DVに関する記事は色々と見つかる。
少し調べた範囲だと、比較的良い結果でも子供とは会えなくなっているケースが多いような気がする。このあたりも今後改善されていってほしい。