『給食委員はアイドル』の感想

給食委員はアイドル【電子書籍】[ 小松原宏子 ]

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面白かった。問題解決の方法は好き。
でも、給食問題については色々考えてしまう。
・あらすじ
ルミは道行く人が振り返るほどかわいい女の子で、三歳の時から芸能活動をしている。給食が大好きで、給食委員になった。
『プリティ・ガールズ』という雑誌で、ルミと一緒にモデルをやっているカオルが、ルミの学校に転校してくる。
以下、ネタバレ有り。


カオルはルミに興味津々で、給食委員ではないのに委員会活動に参加する。その日の議題は、給食キャンペーン。給食委員が率先して給食を残さず食べようという話になる。
そこで、カオルが「そんなのむりよ! 給食ってカロリー高いもの。ぜんぶ食べたらふとっちゃうじゃない!」と声をあげる。
給食キャンペーンの第二弾は、「おのこしゼロシール」。おのこしがゼロだったクラスにシールをあげて、たくさん集めたクラスを表彰するというもの。
小説の題材になるということは、今も完食指導があるのか……そういうのは もうなくなったのかと思っていた。私は無いほうが良いと考えている。
「そんなのひどいわあ。ぜんぶ食べきれないクラスへの思いやりがないですよぉ。っていうか、せっかくダイエットして、ようやく一キロへったのに、シールのために無理やり食べさせられたら、あたしこまるぅ……」(p75)
カオルはそう言う。私はカオルに同意……
カオルは、ルミが他の女の子を太らせようとしているのではないかと誤解している。
おのこしゼロキャンペーンは実施される。
カオルのいるクラスでは、どんどんおのこしが増える。教室では、カオルがカロリーひかえめがいちばんだと熱弁を振るっていた。
ルミは、おのこしを減らすために戦うことを決意。戦い方は、給食が健康や美容に良いとお昼の放送で話すこと。
食べなさ過ぎるのは良くないけど、食べ過ぎも良くない。ルミとカオルがやっていることはどっちもどっちな気がする。健康を犠牲にしてまでフードロスをなくすのは違うような…… お腹いっぱいになると授業中に眠くなる人もいそう。
一度もらった食べ物を残すのはたしかに見て気持ちのいいものではない。
あまり食べたくない人は最初から、自分の食べられる量だけよそってもらうのでは駄目なのかな? それで、残った分はおかわりしたい人に食べてもらえばいいのでは。
モデルとかバレリーナとかアスリートとか、本気でプロを目指して体型管理をしたい人は尊重されてもいいんじゃないかと思った。
たくさん食べても太らない子もいれば、食べた分太る体質の子もいる。
自分の子供の頃を思い出すと、体育の後片付けなどで遅くなる場合、給食当番だけ早く教室に帰って、みんなの給食を勝手によそって配っていた。現実的に考えると、一人ひとり別々の量にするのは難しい。それなら結局、残すのも仕方のないことだという結論になる。
ルミがカオルに、「ほんとうのおしゃれの基本はね」「よく食べ、よく寝て……よく出すの」(p127)
と言うシーンがあるけど、大人になった私からすると、太りにくい子が太りやすい子にこれを言うのはやや暴力的に映る。二人の体質については作中で言及されていなかったと思うが。
舞台となっている小学校の人気メニューナンバーワンは、たこやきフライ。南蛮からあげも出てくる。揚げ物は大人になると健康を考えて控えたいおかずの一つだ。
給食は栄養のバランスがいいので、家の食事にいまいち恵まれていない子には大きな助けになる。でも、家でちゃんとした食事をいつもとっている子は、給食の揚げ物を食べないとか、ごはんの量を減らすなどは許されても良いのではないかと思った。