PPPPPP最終話あたりの感想

PPPPPP 1【電子書籍】[ マポロ3号 ]

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オリジナリティがものすごくある漫画だと思う。
[第1話]PPPPPP – マポロ3号 | 少年ジャンプ+

最初の方を読み返すと、読みやすさにちょっと驚く。
以下、ネタバレ注意。


・一話
ラッキーのお母さん(園田蝶調)のセリフ
「凡才でもピアニストになれるのかどうか私に見せて」
先生のセリフ(出田英雄)
「凡才ってのは 生きながらに得たモンで戦う奴のことを言うんですから 楽しーっスよ 人生が出るわ 本物味がするわ」
・7話
新座ワオ「どうせ絶対天才にはなれないもん(中略)……でもバケモノにはなれるよ」
凡才肯定。最初のこの感じからすると、最終回はバッドエンドだ。しかし、最初と最後の間を読むと、バッドエンドだとは言い切れないと思う。
打ち切り宣告されたであろう時期のずっと前から、主人公のエゴを暴くような流れがあった気がする。4 on 4の演奏でラッキーがファンタの前に母親を出してしまったのは、安っぽい優しさという感じがあった。
きれいにつながっているといえばつながっていて、最終話はわりと納得できる
ファンタとフルスさんはお互いに救われた感じ。ヒロイン取られちゃってるじゃん。思えば、主人公側のややダーティーなプレイをうまくこなすし、日野運の凄さも素直に認めるし、4 on 4のあたりの主人公はファンタだ。
読み返すと、最終話だけじゃなく、途中からかなり不穏なんだよね。
・60話
ピカソ=アッカルディ「天才は宿主次第で生きるし死ぬの(中略)」
これもなんか、ラッキーは天才を死なせているみたいに受け取れる。
ジャンプで連載するためにジャンプっぽい主人公にしてみたものの、作者が途中で気に入らなくなった可能性を考えてしまう……
鬼滅の刃は主人公を変更してうまくいったという話が有名。
【インタビュー】『鬼滅の刃』大ブレイクの陰にあった、絶え間ない努力――初代担当編集が明かす誕生秘話 – ライブドアニュース
https://news.livedoor.com/article/detail/17760339/

連載ネームが落ちた後に、主人公を別の人物に変えようという話になり、「この作品の中に、もうちょっと普通の子いないですかね」と聞いてみたんです。
すると、「炭を売っている男の子がいて、その子は家族全員殺されたうえに妹が鬼になっちゃって。男の子は妹を人間に戻すために鬼殺隊に入るんです」と話し始めたんです。それ、めちゃくちゃ主人公じゃないですかと。

週刊少年ジャンプっぽくない展開が続いていたけど、編集者との関係は大丈夫なのかなぁ。どこかで「もう好きに描いていいですよ」みたいな話になったのだろうか。作品が大人気じゃなくても編集部と関係が良さそうで、それで仕事につながっている印象を受ける漫画家はいるけど、そうなりたいわけではなさそう。実績はあるのに、次回作が週刊少年ジャンプに載るのかハラハラする。
最終話の前は、出田英雄が音上楽音に勝ったエピソードだった。このタイミングで持ってこられた話だから、きっと重要なのだろう。音上楽音は自分が特別じゃない感覚を味わったせいで、変わってしまったのだろうか。自分と似た存在に囲まれるのは最高だ的な。ラッキーの両親の離婚は出田英雄のせいかも。でもそれはミーミンがフルスさんの演奏の前にフルスさんが弾く予定の曲を弾いたようなもので、責任をどこまでも拡大できるわけではない。
・66話
巻六九「天才とか凡才とかエゴとか”いい”とか 全部園田の頭の中でのことっしょ?(中略)よくあるあの~天使と悪魔がささやいてくるやつ的な」
レイジロウと巻六九はラッキーの内面が変わってもそばにいてくれそう。
最終回のあれは、少年の自分を奥に押し込めて大人になった的な解釈ができなくもない。巻六九の言う通り、内面で何が起ころうと肉体はラッキーのままだし。記憶もあるし、もともとのラッキーは殺されたわけでもない。別人格っぽい描写も多いが。
凡才のラッキーが最終話でも振り回していた「7人でもう一度ピアノを」という願望が変化するエピソードがあったら、また少し違った終わり方だったのかも。
たとえば、「兄弟が好きだから仲良くしたい。何年かかってもいいからもっと良い関係になりたい」とか。「7人で」っていうのが他の人の人格を無視していて傲慢な感じがするんだよね。音上家の場合はそれほど関係は悪くなく、実現の可能性は高いけど、二人の兄弟でも仲良くできない場合は現実に多々ある。
兄弟をどうこうするよりラッキーが変わらないといけない部分はあると思うので、最終話で内面が変わったのはやっぱり成長したということなのかな。
よく理解できていない部分が多いけど、ミーミン関連の話は大好きだし、面白かった。