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日本人が知らない「スーホの白い馬」の真実【電子書籍】[ ミンガド・ボラグ ] 価格:1,100円 |
モンゴルの人からすると、「スーホの白い馬」には色々違和感があるらしい。
・スーホの白い馬は矢で射殺されて死ぬが、モンゴル人はいくら悪人でも馬を矢で殺すことは考えられない。とある厩務員の男性は、主人が手綱さばきを上手にできずに白馬を窒息させてしまい、馬頭琴を作った物語を聞いたことがある。(p.85-88)
・王様が競技で勝った者を娘の婿にする約束をするシーンがおかしい。長距離競走の乗り手は基本的に10歳未満の子供。大会が春ということになっているが、春には馬はあまり走らせない。有史以来、モンゴルでは女性をかけて勝負を争う遊戯はないし、民族文化の結晶である伝統的な競技にそのようなことはあってはならない。(p90-92)
このあたりの話が、文化の違いを感じて面白かった。
日本では毛利元就の三本の矢の教えが有名だが、モンゴルに同じ類型の話があり、アラン・ゴア夫人の五本の矢の教えという。年代的にはそれが200年ほど古い、という話も興味深い。(p59)
驚いたのは、教科書では1977年度版から「中国の北の方、モンゴルには……」という書き出しで始まっているという話。1974年度までは、「むかし、むかし、モンゴルという国に……」となっている(p243)。私も「中国の北の方、モンゴルには……」というほうを目にしているはずなのだが、全然覚えていなかった。正直どこの国の話だったかもはっきり分かっていなかったかもしれない。
そういう書き方のせいで、著者が出前授業に行くと、スーホの白い馬を中国の話だと勘違いしている子供も多いという。(p242)